私の親戚…伯父さんは旅館を経営している。
朝と夜は旅館の仕事、昼は海の家、と両方をやらなきゃいけない。
だから遊ぶ時間はほとんど無い。


「旅館ってさー混浴ある?」


ニヤニヤとする良明の頭を叩き、旅館の中へと入る。


「いらっしゃーい」


元気よく挨拶するのは伯母さん。その隣でニコニコしているのが伯父さんだ。
二人には子供が居なくて、私のことをいつも可愛がってくれている。


「麻実ちゃんの彼氏、イケメンだねぇ!」


…なんてニコニコで言われるけれど…良明とはそういう関係じゃないって説明したのになぁ。


「…伯母さん、だから違うってば。こいつはただの友達!
良明、荷物こっち。置いたら早く海行かなきゃ」


相変わらずニコニコしている二人は放っといて、荷物を置く部屋へと案内する。

関係者以外は入れないドアを抜け、渡り廊下で繋がっている伯父さんたちの家へと向かう。
そこの空き部屋でひと夏を過ごすことになる。


「良い人たちだね」


私の後ろに続く良明は、多分笑顔でそう言った。
そして言葉を繋ぐ。


「お前が俺のこと友達と思ってたなんて意外」


私の前に出た良明は少し意地悪そうな顔で私を見た。