「この会社に入社して初めて、
この仕事を辛いって思うことになるかと思った。」


「‥‥?」


「だって、ここに来るお客様は結婚を考えていらっしゃる方達だから、てっきり千早もそうだと思って‥
だからそっちに意識がいっちゃって‥‥そのぉ‥‥」


「‥‥?予想外だったって事?」


「それもそうなんだけど‥
‘相手は居ない’って聞いた途端、力が抜けちゃって‥
申し訳ないんだけど、今の千早の告白、聞こえてたんだけど、頭の中素通りしたというか、何というか‥」


―――おい!
俺めちゃくちゃ緊張したよ?
赤くなってうつむいてるのはかわいいけどさ〜。


「ははっ。俺も今気抜けた。
んじゃもっかい言うから
ちゃんと聞いてて。」


「あ――!待って!
言わないで!」