太陽の光が優しく届く店内。

一歩入っただけで、幸せになれそうな、穏やかな気持ちに包まれる、そんな気持ちにさせるこの場所で働いている瑠楓をさらに愛しく思った。


「いらっしゃいませ。」


30代と思われる女性に挨拶される。


「あ、あの‥楠木瑠楓さんはいらっしゃいますか?」

「楠木ですか?‥‥どなたかからのご紹介でしょうか?」


にこやかに尋ねてくれているものの、警戒されているのが伝わる。


そうだよな、男1人で、初めてで、しかも名指しで‥

今俺ってかなり怪しいか‥

苦笑いを浮かべながら、でもこれ以上、怪しまれないように落ち着いて答える。

「突然すみません。高校の同級生で横山と申します。
以前こちらでお世話になった村山の友人です。」

「まぁ、そうでしたか。
村山様のご紹介ですね。
わかりました。少々あちらでお待ちください。」


そう言って通された個室のソファに腰掛ける。

落ち着かない心の中は
久々に会える瑠楓への想いと
何から話せばいいのかという疑問。

「ふぅ‥」

少し重くなった気持ちを逃がすように小さな溜息をついた。