「―――別れよう。
ごめんね、千早。」


そう言って腕の中から出た瑠楓は、振り向くことなく去って行った。


扉が閉まる瞬間、涙が溢れた。


裏切ったのは 俺。

傷つけたのは 俺。

でもあまりに簡単に終わった関係に茫然とする。


少しくらいすがってくれると期待していた。

責めてくれた方が良かったな。

こんなにあっけなく瑠楓が離れていくなんて。


「瑠楓‥瑠楓っ‥‥」


俺の声は気持ちとは正反対に、どこまでも澄み切った青空に消えた。

付き合って二度目の夏を迎える目前だった。