むけられる視線。
投げられる言葉。

前の席に座ると、後ろの男子にイタズラされる。
背中を丸めて俯いて目を隠して。

私ハナンニモ気付イテイマセンヨ。

本当に気付けないなら良かった。
気付けない程の無知ではなく、気付いて何もできない愚か。


俯いて耐えた日々は何日だったか。何週だったか。何ヶ月だったか。

私は誰にも弱音を吐かなかった。
それは吐けなかったというだけで、別に強いわけじゃない。


オウ兄は何も聞いてこなかったし変わらなかった。


強引な人だったら良いのに。
無理矢理聞こうとしてくれたら良いのに。

それにはオウ兄は大人で、優しかった。
いつも優しく笑っていて、私のお隣りさんでお兄ちゃんみたいな存在のままだった。

それが去年の夏の中。去年の今頃。

それぞれ一日は長かったけど、思い返した一日は短かった。