誰も私を褒めてくれないんだ。
頑張って生きる。
それは当たり前って顔で、誰も褒めてくれない。

もう嫌だと私は叫ぶ。

「私には──!」

ぽん。

私の頭に、手が置かれた。

耳を塞いでいた手から力が抜ける。

「よく頑張ったよ」

その手が私の頭を撫でる。

「ほんとよく頑張ったな」

その下手くそな褒め方は、私が一番欲しかった褒め方。

「シランが頑張ったの、わかるよ」
    ワラ
シイが微笑った。

──それで、

「…う…っん…!」

私の目から涙が溢れ出した。



近付いたシイから、微かに甘い花の匂いがした。