「よし、愚民ども、集まったな」
山崎は集まった面々を満足げに見渡し、教壇に手をついた。不精髭が周囲を覆う口元が不敵な笑みに形づくられている。
生徒を愚民呼ばわりするなと何度言ったら分かるんだこの駄目教師と同じクラスの増田涼子が注意したが、山崎の口汚さはいつものことなので俺を含め増田以外の奴らは黙っている。
山崎は悪びれるそぶりもなく至極愉快そうに続けた。
「言うぞ、言っちゃうんだぜ？　耳の穴かっぽじってよく聞きな！　今日をもってお前らの被服部はぶっ潰れる！」