「待ってたぜ。一応武器、食料は一通り集めて置いた」


ルチェルと別れた後ひとまず自分の城に戻ったフィードのもとに1人の男が駈けよってきた。


「おぉ、よくやってくれた。あとは兵士達の体調管理を個人個人しっかりすれば良いだけだな」


彼はフィードの副官のガルマンという男だ。彼はフィードよりもがたいがよい。ツンツンと空に向かって生えている彼の髪の毛は短髪で金色だった。太陽に反射して光る金髪はガルマンの豪快な笑いとよく合っていた。


貴族のくせに昔から質素な生活を好み、周りからは一線を引いていた。しかし彼にとってフィードは別だ。フィードは差別なんてものはしない。似たもの同士だったのだ。必然的、ガルマンは誰でもなくフィードという男について行きたいと思った。そして今に至る。周りから見たら将軍に敬語を使っていない礼儀を知らない副官、と思われるだろう。しかしいざとなったらフィードの為に一番に命を投げ出すだろう。そのくらいガルマンはフィードに絶大な従順を置いている。


「出発は明朝だ。それまでに別れの話など済ませておくように伝えてくれ」


「おー了解。それと将軍、何やら表情が固いと思うんだが」


喉ち○こが見えるくらいに大きく口を開けてガハハッと笑う。


「ん、私も気合いを入れなくてはと思ってな。久しぶりの戦だから少々緊張をしているのだろう」


ガルマンとは正反対で控えめに笑う。


「まぁ~大丈夫だ。将軍の前に行くまでに俺がぶった切ってやるからよ」


心配はそこではないんだがな、と言いそうになり思いとどまった。


「……期待しておこう」


負け戦になるかもしれない、そんなことを感づかれては兵士達の士気に関わる。それだけは絶対にダメだ。気を引き締めなければ。


自らに言い聞かせながら自室へと足を進めた。