「まあまあ、そういうな。陛下だって今回の戦には着いて来るらしいじゃないか」


目だけでフィードを見、フッと鼻で笑う。


「だから~、それが罠なんだって!!どうして敵が今回は異常に多いのに王が行く?そんなの斬ってくださいって言ってるよーなもんじゃねえか。俺だったら即斬って帰ってくるな」


うんうん、と頷きやっぱそうだよなー、と自分で納得している。


「いや、…しかし今回は陛下が決めた作戦だからな…作戦の頭はその場にいてもらわなきゃ困る」


そりゃそうだ、と相槌を打つ。


「そうだ!!簡単なことではないか。ルチェルが陛下のお近くにいれば何も問題はない」


まあ確かに何も問題はないがな…俺は…


「嫌だね。あんなおっさん守ってなんかいいことあるかっ。守るんだったらやっぱ、か弱い女の子だろ!!つうかお前が謹慎処分を下したんだろ?まあ感謝してるけどな」


ぽかんとした顔の後、フィードは短くしかし本当に楽しそうに笑った。


「ははっ、ルチェルはそういう奴だったな。もう行くよ」


分かれ道が見えた。フィードは戦の準備と上将軍のため何かと忙しい身なのだ。ルチェルは…言うまでもないが謹慎のため城に戻らなくてはならない。


「あぁ。俺は帰って寝る」


いくら強いといってもなにが起こるか分からないのが戦だ。これが親友との最後の別れである可能性も……ないとは言えない。だが2人はまるで明日も会うかのように平然と別れを済ました。




お互いを信じているからだ。