「賢也くん 賢也くん」


と 起こしても起きない。


「起きてよ」


「もう疲れた・・・泊まる」


「うちは泊まっていいけど
家に連絡しないと・・・」


「あー アキがしてて」


「えっ あたしが?」


「お袋はすべて知ってるから」


「すべてって?」


返事がない・・・また寝てる。



緊張しながら賢也くんちへTELをする。


「夜分すみません 大下です」


「あーアキちゃん?」


「あの〜賢也くんがうちで寝てしまって
起きないんですよ だから泊まらせますので
心配しないでください」


「こちらこそ 賢也が迷惑かけてすみませんね
あたしアキちゃんに大事な話しがあるのよ
近々会ってくれるかな?」


「大事な話しですか?」


「そう!じゃあ あさって会いましょ
賢也には内緒ね」


・・・ いきなりなんだろう ・・・


なんだか怖い


さっきすべて知ってるって言ったよね


菜々子のことも?


そっか
あー 反対されるんだ。


貴女から別れて!
みたいな テレビドラマのように!!



結局奈々子を挟んで
川の字になって寝た。


朝早く賢也くんは起きた。


「おはよう」


「おはよう」


そっとキスを交わした。


「オレ仕事だから帰るわ」


「うん!頑張ってよ」


と見送った。






朝起きた菜々子が


「パパがいない・・・」


と泣いたのは言うまでもない・・・。


「パパは今度いつ来るの?」


「あまりわがまま言ってたら
もう会いに来てくれないよ」


「言わなかったら会える?」


「うん」



今日は賢也くんのお母さんと会う


なんか改めると緊張するな・・・


「ごめんなさいね アキちゃん」
 

「はい」


「お話はね」


「あっ!あたしから言わせてください
あたし3歳の子供がいるんです!
賢也くんには 中々言えなかったんですけど
でもそれでもいいって」


「知ってるわよ 賢也が話してくれたから
賢也の気持ちはどうなの?って聞いたら
アキちゃんが好きだって!」


「ごめんなさい・・・
あたしの方から別れるように伝えますね」


「何を言ってるの?あたしは賢也が好きなら
子供を含めて受け入れなさい!って言ったのよ」


「・・・・・別れてくださいって
言われるかと思ってました」


「馬鹿ね 違うのよ
今日はお願いがあるのよ」


「お願い?」
 

「実はね・・・」と 話す。


以前に賢也くんは車で
大事故を起こしたそうだ。


その車にはお父さんと乗っていて
対向車線をはみ出して来た車と正面衝突。


その事故でお父さんは即死
賢也くんも生死をさ迷ったそうだ。

腰や足の骨折など一生歩けなくなるかも と
言われたが 負けず嫌いの賢也くんは
一生懸命リハビリして今のようになった。


しかし事故な後遺症で
その以前の記憶が曖昧らしい
時々頭痛になるのは そのためだと言う・・・。



それでお願いは そんな賢也くんを
支えてほしい とのこと。


「そんなことがあったんですか・・・」


「今はすごく元気になって
アキちゃんと出会って
見違えるくらい明るくなったのよ
今までは父親を死なせてしまった!と
ふさぎ込んで・・・あの子のせいじゃないのにね!」


「話してくれてありがとうございます」


 
そんな辛い過去があるなんて 知らなかった。