それは異様な光景だった

床には彼女が苦しんだ痕跡が残っていた
血が滲み瘡蓋は破けまた血が滲んだのだろう

点々と血痕が残るなか、時折ひっかくように引かれた血の線があった

「怖かったでしょう」

千恵が消え入りそうな声で囁いた
瞳には大粒の涙が今にも溢れだそうとするかのように寸前で待ち構えていた

潤は散乱するコードを踏まないように注意しながら自身の携帯電話をアンプの上に置いた

彼女と同じ機種、同じ色

そのおかげでおきたある事件もすでに懐かしいと言えるほど過去のこととなった