「とりあえずごはん。ね!!」
わたしは、先生の背中を押して
リビングへ急いだ。
ママが作ったおいしそうな料理が
並ぶ。
今日のメニューは
パパの大好きな魚の煮付け。
茶碗蒸し。
お肉がたっぷり乗った
ママの18番。
スタミナサラダ。
あさりの味噌汁。
そしてそして・・・
わたしが作った
肉じゃが。
先生の目の前に肉じゃがを
置いてみる。
「希愛。どうしたんだその手。」
先生が絆創膏の貼られた
わたしの手に気づく。
はずかしい。 じゃがいもの皮
剥いてて手切っちゃいました。
火傷だってしちゃったし。
やっぱりわたしって
不器用。
「希愛がねぇ。司君のために初めて
料理したのよ。 でも不器用だから
もう大変。 誰に似たのかしら…」
ママが頭をかしげる。
「どれ作ったんだ?」
わたしの手を撫でながら
先生がわたしを見つめる。
「肉じゃが・・・
でっでも自信なくて、
おいしくないかも・・・。」
「お義母さん、肉じゃが僕が
全部いただいてもいいですか?」
「先生・・・。」
「あらあら、パパにも
食べさせてあげたかったけど
仕方ないわね。」
「すいません。 」
頭を下げると
先生はわたしの手を
握ったまま肉じゃが
にかぶりついた。