お義父さんに電話をすますと
一度は病室に戻るため
立ち上がった。


だが俺は、病室に戻ることなく
再びベンチに座り、
ひとり思いにふけていた。


どのくらい時間が過ぎたんだろうか?





 「冬星さん!!」


血相を変えて駆けつける
婦長。




 「希愛になにか・・・・」




 「奥さんが見当たらないんです。」



 「希愛が・・・」



 「その様子なら、奥さんが
どちらに行かれたか心当たり
なさそうですね。 
出血の量が大量だったから
まだ体はつらいはずなのに・・・
心当たりを探してください!!
心身ともにショックが大きいん
ですから早く見つけないと。
院内は手分けして探しています。」




怒鳴りつけるような大きい声。



 「はい。」


俺は、希愛の本心に
気付いてなかった。


この、俺でさえ小さな
生命を失ったことに
ショックを受けてると
いうのに、実際自分の
体内に宿った生命を失った
希愛が平気な訳ないのに・・・


冷静でいられるわけないじゃないか。


そんなのわかってたはずなのに。



俺は何をしているんだろう・・・。


何で目を離してしまったんだ。