希愛の、反応に正直拍子抜け していた。 こんなに大人だったか? ふたりの間に流れる 微妙に冷めた空気。 眠りに着いた、希愛 を確認し、希愛が目覚めた事を お義父さんに知らせるために 病室を出た。 中庭のベンチに腰をおろすと 無力感に襲われる。 コーヒー缶片手にこぼれる ため息。 俺が、蒔いた種なのは わかっている。 失った生命の大きさと 希愛との間に生じた この距離とが俺を 追いつめていった。