「希愛、落ち着いて
聞いてほしい。」


 「・・・。」



俺は、希愛の両手を力いっぱい
握った。

 
深く深呼吸をして、


 「赤ちゃんは・・・」


俺は言葉を濁しながら
首を横に振った。



色々な言葉を探しても
遠まわしに伝えても
結局希愛を傷つけることには
かわりない。


こんな残酷な現実を
どんなソフトな言葉で
はぐらかしても
俺たちに起きた
この現実は変える事が
できないのだから・・・。


せめて、この事実を
俺から希愛に
伝えられたことが
唯一の救いかもしれない。



俺が、ついていて
あげられるのだから・・・