「検温です。」

カーテン越しに陽の光を
感じる。



俺は、希愛の手を握った
まま眠ってしまった。



希愛はまだ目覚めない。



このまま目覚めないのでは
ないのかという
不安がよぎる。



 「すいません。
妻はいつごろ目覚めるでしょうか?」




 「もうそろそろ目覚めると
思いますよ。」



看護婦さんが体温計を手渡す。



俺が計るのか??



希愛の脇に体温計をはさむ。



久々に触れる希愛の肌。


胸元に光る結婚指輪。



希愛は許してくれるだろうか?