「もしもし、希愛が流産したよ。
司君聞いてるのか!!
君は妊娠の事を知っていたのか!!」




 
流産・・・



言葉を飲み込むのに
時間がかかる。




酔ってるからではない。




 「大切な話しがあたんだけど・・・」



希愛の言葉の意味を知った時
俺は大切な生命を失った後だった。




お義父さんの声など
頭に入ってこない。




携帯の向こう側でひたすら
怒り悲しむ父親の声。




「司君、聞いてるのか!!
すぐ、病院に来てくれ。
希愛のそばにいてやってくれ。」



希愛・・・。




俺は、部屋を飛び出した。