「赤月、どうした?」



 「ほっといて・・・」



藤堂君がわたしの
背中をさすってくれる。



先生と離れたとたん
弱気になってしまった。


もう少し一緒にいたら
きっと泣きついてた。



そんなわたしを、
赤ちゃんが怒ってるのか
急に吐き気が襲ってきた。


学校では、特に気をつけなくちゃ
いけないのに・・・。



 「大丈夫だから。 
ほっといて。!!」



 「どう見ても大丈夫
じゃないだろう。
保健室行こう?」




 「イヤ!!
わたしに構わないで!!」




 くりかえし襲ってくる
吐き気。


不安で、涙が止まらない。



何も食べてないから、吐くもの
もなくて・・・。



ただただ押し寄せる吐き気。




 「赤月、お前・・・まさか・・・」



気付かれた。


 「誰にも言わないで、お願い!!
誰にも・・・」



わたしは、藤堂君にすがりついた。



そっと抱き寄せてくれる
藤堂君の優しさが今はうれしかった。



 「安心して、誰にも言わないから。
赤月、その・・・相手は
知ってるのか?」




わたしは藤堂君の胸の中で
小さく首を横に振った。



 「ちゃんと話さないと。
赤月が好きになった相手なんだろう。
ちゃんと、ふたりで話しあわないと。
俺ならきっと本当に好きな子に
子どもが出来たら一緒になって
喜ぶと思うよ。
まぁ学校とか世間とか色々
あるけど、俺だったら何をしても
守っていくと思う。
だからきっと赤月の彼氏だって
きっと一緒に喜んでくれるって。」




 「藤堂君・・・」




 「もし、もし彼氏が
どうしようもないバカだったら
俺のところにくればいいから。
俺、赤月もお腹の子も
守って見せるよ。」



ピーンと張っていた
糸が切れた。



藤堂君の胸で、涙が
止まってくれるまで
泣き続けた。