先に行ってしまったリコを
小走りになりながら追いかけ、教室に着いた。


ガラッ


教室のドアを開けると、すぐにリコをみつけた。


「リコ、追いてかないでよ!!」


「あ、ゴメン。」


「あの、通してもらっていいかな?」


ドアの近くでリコと話していると、後ろから声をかけられた。


「ごめんなさい、邪魔だったよね。」


謝って振り向くと、そこには
"雪王子"の名を持つ雪野くんが立っていた。


近くで見ると、本当に綺麗な顔立ちしてる。


スッとしている鼻に、
吸い込まれそうになる、魅惑的な目
透き通った白い肌に
薄い ピンク色をした唇。


それらは、女の子から"王子"と呼ばれる理由を納得させる。


不覚にも、ときめいてしまう。


「…さん、朝田さん、大丈夫?」


「ぁあ!!
大丈夫だよ、ありがとう」


「そう、よかった。」


そっと微笑むその顔は、


まさに、空から降る雪のように優しい。


そして雪野くんは、席に向かっていった。


「唯、みとれてたの?」


うっ、図星だ。

だけど、そんなことを認めるのは 恥ずかしすぎる!!!


「そんなわけないよッッ!!」



「唯はさ、嘘が下手だね。」


「何言ってんの!!」


そう、あたしは嘘が下手らしい


何故か、いつもバレてしまう。


「唯ったら、可愛いー♪」


「もぅ、リコのバカ。」


こうやって、リコにからかわれるのがいつものパターンだ。


それにしても、
こんなことまでバレたらいくらなんでも恥ずかしいよ…。



そのとき、あたしはまだ気付いていなかった。

あたしの初恋が、あんな形になってしまうなんて……

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