―…

「先輩、もし先輩が大学に合格したら、クリスマス、一緒に遊園地に行きませんか?」


夕食後、裕美は勇気を出して、お誘いのメールを打ち込んでいた。

これを送信するか、消去するかは、自分次第。



「あー…どうしよう。緊張する〜…」


(待ってる)


孝志のあの時の声がまたエコーされる。

勇気を出さなきゃ、何も始まらないじゃない、と裕美は唇をかみ締め、送信ボタンに指を置いた。


「押すのよ、裕美!送信…!」



その瞬間、なぜか亮太の顔が浮かんできた。


(だから、何でアイツの顔が…)


そして、チケットに目をやると、さっきの森田の言葉が浮かんでくる。

『一番大好きな人といったらいいよ』



(何で?一番好きな人は、孝志先輩だもん。

何を迷うことがあるの、あたし)


そのイメージをかき消すように、ぎゅっと目をつむり、ついにボタンを押した。
画面には《送信しました》の文字。


「送信…しちゃったぁ〜…」


裕美は「どうしよう」と、ベッドに倒れこみ、足をじたばたさせた。その時、ほぼ同時にメールが入った。


【Re:今日はサンキュー!】


亮太だ。

裕美は仰向けになっていたのを、ばっと寝返りをうち、うつ伏せになって、メールを開いた。