「パチパチパチパチ…」

何かが燃えてる───

木材が燃える音に似ていた。燃えては何かが弾けるような音。

そして煙…?


何が起こっていたのかわからない。

ただ
苦しくて


誰か居ないかと目を開いた気がした。


──誰かがいる

…確かにこっちを見て…向きを変え去って行こうとした人物を

必死で呼び止めた。


アレが誰だか知ってる

懐かしい人物───



「お父ちゃーん!!!!」


苦しくて、それでも絞り出すように発した声は、よく知ってる自分の声じゃなかった。

まだ声変わりもしていない男の子の声。

多分10歳くらい

だけど確かに
自分の口から出た声。




───あぁ、そうか


これが前世の記憶。

これが『あたし』になる前の───
一つ前の人生…

そして
その人生は今、終わろうとしていた。


『僕』が死ぬ時の記憶


死の瞬間を思い出すのが怖くて

必死に願った。