昨日の光景が、鮮明に思い出される。
冷たい声。
トゲのある言葉。
クスクスと笑う笑い声……。
本当は物凄く怖い。
だけど、ここで強くならなきゃ。
対抗も出来なくちゃ、楓を好きなんて言う資格はないから。
「離して……っ!」
勇気を振り絞って腕を振り払い、女の子を睨みつけた。
すると女の子達の目はますますつり上がって、あたしを見下す。
「ブスのくせに生意気なんだよっ!」
巻き髪の女の子がそう言うと、他の女の子達が一気に口を開いた。
バーカ、ブスと次々と浴びせられる暴言が耳を塞ぎたくなる程入ってくる。
心をズタズタに傷つけられた。
でも……
あたしは負けない。
涙をこらえて、震える手を握り締めながらあたしは顔を上げる。
「あ…あたしは、楓が好き……っ!」
震える声で精一杯、声を発した。
女の子達がニヤリと気味悪く笑う。
物凄く怖くて、この場から逃げ出してしまいたかった。
そんな思いとは裏腹に、あたしは続ける。