「あたし…楓に自分の気持ちきちんと伝える」
あたしがそう言うと、あーちゃんは満足そうに微笑んだ。
と、その瞬間……
――ジリリリッ
目覚まし時計の音が部屋に鳴り響いた。
ふたり同時に時計を見ると針は7時をさしていた。
「もうこんな時間!? あーちゃん、本当にありがとう!」
鞄を抱えて急いであーちゃんの部屋を後にした。
心にあったモヤモヤとした雨雲が消えていく。
今日は雲一つない晴天。
息を切らしながら、家までの道を走る。
微かに吹く秋の風があたしの背中を押してくれているようだった。
――ガチャッ
勢いよく玄関の扉を開けて、鞄を放り投げるとあたしはバスルームへ急いだ。
バサッと制服を脱ぎ捨てて、シャワーを浴びる。
雨で湿気の匂いになった髪にフルーツの香りのシャンプーをつける。
甘い香りがバスルームいっぱいに広がった。
洗い終わって、バスルームから出ると、急いで体を拭いてさっきまで着ていた制服に腕を通した。