――『こんな可愛い子イジメるなんて俺、許さねぇよ?』


屋上で愛チャンに責められた時、そう言って助けてくれたのは爽だった。


とっても頼もしかったその背中は、今でも目に焼きついている。


――『今度コイツに手出ししたら、お前らの顔グチャグチャにしてやるよ』


さっきだって、爽は楓のファンの女の子達から助けてくれた。


いつだって爽は、こんなあたしに優しく微笑みかけてくれたんだ。


だけど……


――『こんな情けねぇ姿、見られたくねぇ……』


あんなことを言ったのも、あの頼もしい背中が震えたのも。


全部……


全部、あたしのせいだよ……


“友達以上恋人未満”


その言葉は一番、曖昧で卑怯な言葉だと思う。


だけど…あたしと爽の関係はやっぱり、その言葉が一番似合う関係。


……そう思ってた。


でも今日でその関係は崩れた。


恋人にもなれない、友達に戻ることさえも出来ない。


もう二度と、爽があたしに笑いかけてくれることはないような気がした……。