そんなあたしは最低だ……。


心の中ではそう思ってるはずなのに、心が上手くコントロール出来ない。


楓じゃなきゃ、こんなことしたくないって思ってるのに。


今、あたしに温もりをくれているのが楓だったらいいのに……なんて考えている。


矛盾だらけだよ……


「うっ……っ…」


気づけば涙を流していて。


驚いたように爽が体を離した。


「……どうした?」


さっきまで意地悪してたくせに、そんな優しい瞳で見つめないでほしい。


「あ、たし、帰るっ…!」


精一杯出した小さな声は爽のキスで塞がれた。


無理やりあたしの口の中に爽の熱いもの入ってきて、言葉を発することが出来ない。


息する暇さえ与えない。


「……そっ…う」


しばらくして離された唇を開けて、あたしは荒く息を吐いた。


多分、これ以上されていたら酸欠で倒れていたと思う。


「帰さねぇよ……」


荒く息を吐く爽の声が、あまりにも小さすぎて聞き取れなかった。