――時は過ぎ。
俺達は中学を卒業した。
もちろん、後遺症を背負った柚月は未だ入院していて式にも出れない。
きっと、俺のせいだ。
俺があの時、楓の家に行かなければ。
今頃、柚月は式に出れていたかもしれない。
笑顔でいれたのかもしれないん。
俺は心の底から自分を憎んだ。
それと同時に、楓のことも憎んだ。
俺はあの一件があってから、楓のことが大嫌いになった。
向こうだって、嫌ってるに違いない。
だから俺達は自然とお互いに喋らなくなった。
柚月のお見舞いに行った時。
後遺症があるのに、柚月はそれを感じさせない笑顔だった。
普通じゃ俺達を憎むはずなのに……。
俺が持ってきたオレンジジュースを美味しそうに飲みながら柚月は言った。
――『楓は来てくれないのかな』
って。
健気なヤツだ。
まだ楓を想ってるなんて。
俺は気に入らなかった。
だけど、なにも出来ない無力な自分に、無性に腹が立った。
俺は情けないヤツだ……。