それを聞いた俺達はいつからか、柚月が“特別な存在”になっていた。


内心、同情も少しあったのだと思う。


だけど確かに、柚月に惹かれていた。


ずっと3人で一緒にいたのに。


柚月が選んだのは俺ではなく、楓だった。


柚月は楓と恋をしたいって望んだんだ。


だけど、柚月のその願いは叶わなかった。


泣くのも当然だろう。


“俺にしとけよ”って言ってやりたかった。


でも…言えなかった。


重い病を背負っているにも関わらず、今度は事故だなんて……


俺は人生のどん底に落ちた気分だった。


「……俺にはそんなこと出来なかった」


楓は俺のシャツを離して、深いため息をついた。


「同情だったんだよ……」


許せなかった。


同情だとしても、好きって言ってるような態度してたじゃねぇか。


「好きでもないなら、最初から突き放してやれよ……」


「お前にはそんなこと出来たのかよ?」


なにも言うことが出来なくて、俺は唇を噛み締めた。


……もし、楓の立場だったとしたら、


俺だって出来なかったと思う。