悔しさでいっぱいの俺に、柚月が鋭い目線を向ける。
「ねぇっ! どうしてこんな酷いことしたの!?」
“お前のため”だなんて言えない俺はずっと黙ってることしか出来なかった。
「おい、柚月。やめろよ」
楓が止めにはいっても、柚月は止まらなかった。
「うるせぇよ!」
俺はイライラして柚月を思いっきり突っぱねた。
「……っ…!」
そのはずみで柚月は道路に飛ばされてしまった。
――キーキーッ
「きゃああああ!」
「柚月……っ!」
柚月は道路を走っていた車にひかれた。
俺達がかけ寄った時には、柚月は意識を手放していた。
それから柚月は救急車で運ばれて、なんとか一命をとりとめた。
だけど、体を強く打ったことによる麻痺で、体を自由に動かすことが難しくなった。
――搬送先の病院で。
“手術中”と光る赤いランプを見つめながら楓に言った。
「なんで柚月を振ったんだよ……」
「……好きなヤツがいるからだ」
緊迫とした空気の中、楓は静かに呟いた。