「どうして爽って男は王子が嫌いなのかしら?」


爽は楓のことが嫌いだって言ってた。


やっぱりそれには何か理由があるのかなぁ……?


「うーん……謎が深まるばかりねぇ」


あたしはコクンと頷いた。


……確かにあたしの周りは謎だらけ。


楓と愛チャンの関係も。


爽が楓を嫌いな理由も。


楓の気持ちも……。


「あれ。そう言えば、王子は?」


あーちゃんはサンドイッチを片手に、教室を見回した。


「楓は、愛チャンと……」


「はぁ!? あの女っ!」


あたしが言い終わる前にあーちゃんは眉を上げて大声で言った。


そう……楓はさっき愛チャンに呼ばれて教室を出て行ったんだ。


肩を並べて歩くふたりの姿は、悔しいけどとてもお似合いだった。


そんな姿を見て、あたしの胸は痛むばかり。


あたしは楓と堂々と歩くことなんて出来ないけど。


楓と愛チャンは、

まるで本物の“王子様とお姫様”のようなお似合いのふたりに見えた。