爽は意を決したようで、「ふぅ」と一息つくと言葉を発した。
「……大丈夫かなって」
「へっ?」
「お前、帰る時も元気なかったみたいだし。大丈夫かなって思ってさ」
その優しい口調は、あたしの心を揺さぶった。
爽……
「心配になってかけたんだよ。悪りぃか?」
電話だから見えるはずもないのに、あたしはブンブンと頭を横に振った。
「ぷっ。頭振ったって見ねぇよ」
……な、なんであたしの行動がわかるの?
もしかして爽も
……エスパー。
もおっ、あたしの周りエスパー多すぎだって。
爽も、あーちゃんも、楓も。
……楓、か。
「とにかく、大丈夫か?」
「あっ……、うん」
「俺が慰めてやろっか?」
いたずらっ子のような口調に、なんだか母性本能をくすぐられる。
「な、何言って……っ!」
「あれ? 穂香ってば、もしかして想像しちゃった?」
かぁああああ、と頬が熱くなるのが自分でも分かる。
あ、あたしってば、何を想像してんのよぉおおおお!
もう、恥ずかし過ぎる。