終礼が始まる。

私の胸騒ぎが激しくなる。
何となく、今井さんは
今日の放課後に、先生の元へ行くような気がする…。


一刻も早く、
私が先生を捕まえたい。
今井さんと先生を合わせるのが怖いんだ―……


最低だとは分かってる。

でも、先生が今井さんと
付き合うことになったら…って思ったら、怖くてたまらなかった。


でも、人生上手くはいかないもので……。


「立花さん、ちょっと委員会のことで話があるんだけど…。」
終礼後、クラスの子に
呼び止められた。

「……っ 今日じゃなきゃダメ??」

「うん、出来れば今がいい…。すぐ終わるから…。」

「分かった…。」

運が悪い。
何でこんな時に……!!


でも、その子に悪気があるワケじゃないからなぁ…


半分泣きそうな気持ちを
抑えながら、数分間 話し合った。

その数分間がとても長く感じた。

「分かった、ごめんね。忙しいのに…。ありがとう。」

「ううん!! またね!!」

数学の補習道具を取り、
急いで走り出す。


教室にも、どこにも。
今井さんの姿が見当たらなかった……



ああ、もうダメだ。


今井さんは、先生の元へ
行っちゃったよね…


足を止めて、トボトボと歩く。走る気力さえ なくなった。



もう、いい。
先生と今井さんが付き合うことになったなら、もうそれまでの話なんだもん……。


重い足取りで
階段を昇っていく。


ドンッ

「……きゃっ!!?」

階段を昇りきったところの角で、誰かにぶつかった。


「……!!」

今井さんだった。


「ご、ごめんなさいっ!!」


今井さんは、そう謝ると、
また走って行ってしまった。


―……今、泣いてた…


確かに今井さんの目からは
涙が出ていた。


もしかして……??



急いで 進路指導室へと向かう。


先生は―…!?