翌日。
昨日、先生のおかげで少し晴れ間が見えた私の心は、
また一瞬にして
薄暗くなった。
『さっきたまたま聞こえたんだけど……今井さん、一之瀬に告白するらしいよ…』
朝、晴香から聞いた言葉が
頭の中で グルグルと繰り返される。
告白……
考えたこともなかった。
だって、先生と生徒なのに…
みんな、私みたいに
ただ好きになるだけかと思ってた…
想いを伝えないまま、
見てるだけで終わるものだと思ってた……
不安な気持ちが
体中を駆け巡る。
生徒から告白されたら、
先生はどんな反応するの?
何て返事するの?
…まさか、今井さんと付き合っちゃったりなんかしないよね??
『聞いた話によると、一之瀬って結構 生徒から告白されたりしてるらしいよ。』
そんな 言葉も思い出す。
一体どのぐらいの人数からなのかは分からないけど、
先生は、その中の誰かと
付き合ったの?
付き合ってるの?
色んな 考えが頭をよぎって、
涙が出てしまいそうになった。
こんなにも。
先生を好きになっていた。
誰にも
渡したくないなんて、
欲張りなことを思うように
なっていた。
そして、昼休み。
じっと今井さんの様子を
伺っていたけど、何のそぶりも見せない。
晴香も首を傾げる。
今井さん、冗談だったのかな。
どうか、冗談であって欲しいと願う私。
その後の授業なんて
うわの空。
6時間目の数学の授業だけは、ちゃんと受けるつもりだったけど、やっぱりムリだった。
ところどころで
聞こえてくる、今井さんの甘ったるい声。
他の先生には使わない声。
その声が、私の不安を余計に掻き立てる。