先生の遅れての登場に
また教室内がざわつく。

かっこよくない?とか
若いね、なんて言う声も。


そんな声は気にも止めず、
先生は黒板に 大きく名前を書いてみせた。


「えー、1年の数学担当、一之瀬恭平です。よろしく頼むな!」


そして、あの入学式の時のように、大きな笑顔を見せた。



ドキッ。


また、私の胸が波打った。


今まで経験したことのない、
不思議な胸の感覚。



それからと言うもの、

私は先生が教室に来る度に
キュンとしたり、


先生の笑顔を見る度に
ドキッとしたり、


先生を教室以外で見かける度に目で追ってしまったり、


苦手なクセに
数学の時間がやけに楽しみになったり、


授業中は
授業どころじゃなくて、
先生に夢中になってたり…。



何週間も経って、

さすがに私は自分自身でも
これは恋なんだって気づいたんだ―……。