「本当、大丈夫です…。」
先生は、まだおでこに手を添えたまま。
「何かあったらすぐ言えよ?」
「うん、ありがと…。」
言えるワケないよ…
今井さんのこと、
言ったら私の想いもバレちゃう。
いや、バレちゃった方が楽なのかもしれない。
でも、この関係を崩したくもない。
ホント、この想い
どうすればいいんだろ。
1年の時みたく、
何の関わりもなければ、
見てるだけで十分の片思いだったんだろうなぁ。
中途半端に 仲良くなっちゃった今は、この想いを1人で抱え込んだままでいるのは 結構辛かったり。
かと言って伝えようとも
思わない。
すべてが崩れるような気がするから。
所詮 先生と生徒の恋なんて
叶わないまま 終わるものなんだ―……。
「…やっぱお前、何かおかしくない?」
ずっと 俯きっぱなしの私に、
先生は言った。
「……そんなことないです。」
元気のない声。
こんなんじゃ、心配かけて当然かなぁ。
「…まぁ、お前が言いたくないのにムリヤリ聞くつもりはない。でも、何かあるんなら1人で抱え込むなよ?」
先生は、私の頭を
くしゃくしゃに撫で回した。
「よし、今日は数学は休憩!!」
「え?」
「お前 毎日頑張ってるからなぁ、ご褒美。」
先生は、両ポケットから
缶ジュースを2つ取り出した。
サイダーだ。
「今日は、乾杯でもしながら語ろうぜ。」
無邪気に先生が笑って言った。先生と話せるんだ!!
私は、元気に頷いてみせた。
プシュッ、とサイダーが
元気な音を立てる。
「乾杯!」
缶をぶつけて、先生と同じタイミングで缶に口をつけた。
炭酸がシュワシュワと
気持ち良かった。
何だか、不思議だぁ。
少しずつ、元気が出てきた。
先生のパワーかな。