「も、もー!! 早く始めようよっ!!」
必死の照れ隠し。
だってもうドキドキが半端じゃない。このままじゃ私の心臓がはち切れそうだったから。
早く補習始めなきゃ、
私の想いがホントにバレちゃう。
「はいはい、悪かったってぇ。」
クスクスと笑い、先生が席に着き、教科書を開く。
「じゃ、続きからね。」
イキナリ真剣モードになる先生。何なの、この切り替えの素早さ…。
まぁとにかく、私も集中して
気持ち切り替えないと!
普段通りの補習がスタートした。さっきとは違う、真剣な雰囲気が漂う。
その空気に緊張してた私だけど、私が問題を解いて、その答えが合ってると、
「正解!」
って 先生がいつもの笑顔をくれたから、安心した。
真剣な先生も好きだけど、
やっぱり先生は笑顔じゃなきゃ。
先生との補習が始まってから、何日経ったんだろう。
とにかく、私は前より数学が好きになれたし、少しずつ得意になってる。
先生は、いつまで私に付き添っててくれるかな。
いつまでこうやって補習に付き合ってくれるかな。
いつか この補習にも
やっぱり終わりがくるんだよね…?
そう考えると、
すごく寂しくなった。
私が数学が完全に得意になっちゃったら、補習はなくなるのかな?
それなら一生 得意になんてなりたくないよ…。
ピタリと手が止まり、
先生も不思議そうに
「どうした?」
と尋ねてくる。