そして やっと放課後。
さっきの話を聞いてからは
他の授業はうわの空。
早く放課後になれって事だけ
思い続けてた。


今日も私は 軽い足取りで
4階へ向かう。


早く先生に会いたい。
今日の2時間目のこと、
謝りたいし お礼も言いたい。


「―…あれ。」

息を切らして 進路指導室に入る。
でも、先生の姿が見当たらない。何でぇ……。


しょんぼりした気分で
とりあえず席に座る。


今日は補習ナシ?
それともまさかの忘れてるとか?


とにかく、こんなに楽しみにしてたのに、先生に会えないなんて寂しすぎる。


その時。
「立花ぁぁぁっ!!!」
「ぎゃあああああああ!!!!」

いきなり大声が後ろから聞こえてきて、肩を掴まれた。

あまりにもビックリしすぎて、甲高い声が室内に響き渡る。


ビックリしたけど、
この知ってる声の持ち主は…、

「あははっ!! ビックリした?」

私の大好きな先生だ。

「当たり前じゃん!! 死んだらどうするのよーっ!!」

半分涙目になりながら
先生をポコポコと叩く私の腕を、ごめんごめん、と笑いながら先生がパシッと掴む。


ドキッ

先生の体温が、熱が。
私の腕に直接伝わってくる。


ドキドキする。
恥ずかしいけど、
振りほどきたくなんてない。


「そんな泣きそうな顔するなよー、悪かったって。」

まさかこんなに怖がるとは、と少し困ったように先生が私の頭をわしゃわしゃと撫で回した。
私の心臓は、また更に
ドキドキドキ…と速く、大きく脈打つ。


どうしてこんな事が
軽々しく出来ちゃうんだろ。

私、こんなにドキドキがすごいのに。


やっぱり、何とも思ってない…から?


そう考えた途端、
ドキドキが、ズキズキに
変わった。