私はと言うと、
未だ教卓に座ったままの先生をボーッと眺めてた。
すると、先生の周りに
数人の女子が集まる。
「先生ー、ココもう1回教えて貰ってもいいですかぁ?」
「んー? おう。」
優しい先生は、席を立ち、
黒板に書き込みながら また一から説明をする。
「はぁ……。」
思わずため息をつく。
あの子たちは、きっと分からないんじゃなくて、ただ先生としゃべりたいだけなんだろうなぁ。
まぁ、ライバルが多いのは承知の上だけど。
それでも やっぱり
先生が他の女の子と話してるのを見ると、自分のものでもないのに、悔しくなったり、嫉妬しちゃうんだ。
「あぁ!!分かったぁ!! 先生、ありがとーっ!!」
なんて言いながら、さりげなく先生にタッチしてる子もいる。
先生に触らないでよ…なんて、まるで恋人みたいな感情を抱いてしまう。
放課後までは我慢……って
思ってるんだけど。
他の女子にも
笑顔を振りまく先生を
ちょっと恨んでしまう。
先生に悪気なんてこれっぽっちもないなんて分かってるから、結局は恨みきれないんだけど。
チャイムが鳴り、
また授業が始まる。
先生は、ワークを開きながら言った。
「…何かぁ、2年全員、このワークで今週中までにきちんとやって提出しないといけない範囲のとこがあるみたいだから、この時間はそれやっていいよ。」
そして、黒板の方を向き、
ワークの範囲を書く。
「げっ。こんなに多いのぉ?めんどいなぁ!」
範囲が載ったプリントを見て、先生は言う。
もっと少なくていいじゃん、とまるで生徒のような発言。
確かに、今週中に提出とは言え、範囲が広かった。
決めたのは先生じゃないと思うけど。
「まぁ、頑張って今から進めとけよ。静かに取り組むように。」
みんながワークに取り掛かると、先生はまた教卓の椅子に座った。