ようやく、全員理解したらしく、先生は授業を進める。

「じゃ、この問題5問解いたらこの時間は終わりね!!」

相変わらず適当な先生は、
あと十数分残っているというのに、たった5問だけで授業を終わらせようとする。


まぁ先生らしくていいけどね。
早めに問題解いて、
後は先生の観察でもしようかな…と思いながら、問題を解く。

すると、
いつもは大いにくつろいだり、窓の外を覗き込んでいるだけの先生が、今日は教室内を歩いて、様子を見に回り出した。

ゆっくりと 机と机の間を歩きながら、みんなの出来を確認する先生。

さっき なかなか理解出来ないでいた子のノートを覗き、きちんと理解出来たのを確認すると、少し笑って、満足そうな顔をした。


そして、小声で
「合ってるよ。」って。


ついに、
私の列にも 先生が回ってきた。

まだ全部解き終わっていない私は、一生懸命問題を解いた。

先生が横を通る。

ふわぁっと風がきて、
先生のいい匂いがした。


通り過ぎる時に、
トン、と先生の手が私の机に触れていった。


先生は無意識だろうけど、
私のものに触れられたことが、何か嬉しかった。


全員の席を回り終えると、
先生は教卓に戻って行って
椅子に座った。