何本かペンが入っている胸ポケットから、いつも同じボールペンを取り出して、出欠確認をする。

クラスの人数を数えて、出席簿に書き込む。

「……よし。」

そして、ボールペンを
ポン、とまた胸ポケットに入れる。

すごく小さな仕草だけど、
私はとっても好きなんだ。


「じゃ、授業進めるかぁ。こないだどこまでいったっけ?」

先生は、1番前の席の子の教科書とノートを覗き込む。


ちょっと……近すぎじゃない!?先生は全く気にしてない様子だけど、相手は女の子なんだから…。

ああ、あの子が羨ましい…し、何か悔しいよぉ……。


次の席替えでは、絶対 教卓の前がいい!!


「じゃーあー、こないだの続きからやるけど、今日は2時間ぶっ続けでめんどいから、ゆっくり進めるからなぁ!」

出た。
必殺・『めんどい』。

先生はめんどくさがりやで、
よく『めんどい』とか『めんどくさい』とか言う。

まぁ、いちいち細かい人は私も苦手だから、先生のめんどくさがりやのとこが私も好き。


「じゃ、説明するからよく聞いとけよー!」

式を大きく黒板に書いて、
先生が説明を始める。