「昨日はどこまでだったかなー…。」

先生は、教科書をパラパラとめくった。


教科書をめくる指が
細く長く綺麗で。

日に焼けた腕が
男らしい…。


「先生、もう大丈夫だよ。始めよう!!」


沈黙が照れ臭くて
先生を催促する。


「おー、やる気満々だな。いい事だ♪」

先生はご機嫌な様子。



私たちは、
昨日のように 2人で授業を始めた。


「私、数学出来るようになるかなぁー。」

私が問題を解きながら言うと、

「俺が出来るようにしてやるよ。」

口の端を上げて
先生は答えた。


うっわぁ……

今のセリフ
すごいカッコ良かった…!!



「期待してるからねっ」

「任せとけ。お前が得意になるまで付き合ってやるよ。」


キュン……



先生、その言葉は
今まで 何人の生徒に言ってきたことあるの?



私だけ、なんてことは
もちろんないんだよね……



だって先生は、
みんなの先生だもん…。