見つからない、見つからない!!
無駄に広い校舎が
憎たらしい。


4階を 端から端まで
走り回って、ようやく
突き当たりを曲がった、
目立たなくて分かりにくいところに、

『進路指導室』と書かれた
プレートがある部屋を見つけた。


ガララッ


勢いよくドアを開ける。


先生、まだ来てない…の??


シーンと静まり返った部屋。

広さは 教室の半分ぐらいで、
結構狭い。

2人で 使うには
特に問題はないけれど。



中に入ると、


向かい合わせにされた
2つの机がくっつけてあって、

奥の方に 先生が
教科書を持ちながら立っていた。


「遅いぞー?」

ニカッと笑う先生。



その笑顔を見て、
ホッとする私。


「場所、知らないんだもん…。」


息を切らしながら
答えると、

「お疲れさん。いいよ、少し休んでも。」

優しく微笑んで、
私を席に座らせると、


その向かいの席に
先生も腰かけた。



向かい合わせってのも
恥ずかしいけど、

この近い距離も また
私の心臓をバクバクにさせる。


走って来たからだけじゃない。

この大きく脈打つ心臓は、
先生のせいだよ―…。



まともに先生の顔、見れないよ…。