「なぁ、明日香。オレ知ってるんだよ」


ボクがそう言っても明日香は口に手を当てたままだった。

明日香の友達が心配そうにコッチを見ていたから、

「悪いけど、先に帰っててくれない?」と言った。



突っ立ている明日香に「ちょっと待ってて」と言って、ボクはグランドに戻った。

ボクをポカンと見ていた幹太に

「オレ帰るわ」

と声をかけて自分のジャージを手に取った。


「おい、どうしたんだよ?」


幹太が言ったけど、「今度話すわ」と言って明日香の所へ戻った。



明日香は困った顔でボクを見ていた。


「悪いけど、部室に荷物あるから付き合って」


ボクは部室へ歩き出した。

明日香も何を言わないでついてきた。



部室から荷物を持ってくると、ボクはジャージ姿のままで明日香に言った。


「で、ルウコの病院どこ?」


「ソウちゃん・・・何で?」


掠れる声で明日香が言った。




やっぱり・・・。


ルウコは病気なんだ。



自分で言ったクセに相当ショックがあった。