オレが始めて彼女を見たのは、桜の花がまるで雪のように舞い散る日だった。
その日は薄暗く、そして風が少し強かった。
決してお花見日和とは言えない日だったけれども、舞い散る桜の白い花びらは、とても美しかった。
学校から家へ帰る途中、桜の山に寄りたくなって、そこへ向かった。
山一つ、桜の木ばかり植えられた山は、季節外れにも白く染まっていた。
けれどこの風じゃあ、明日には茶色になっているかもしれない。
そう思いながら、人気のない山の中を歩いた。
花びらは吹雪のように舞い散り、視界を遮る。
それでも上っていくと、頂上に人がいた。
すでに細い土道しかない頂上に登る人間なんて、滅多にいないはずなんだが…。
けれどそこは桜の木が密集していて、とても幻想的な雰囲気が広がっていた。
そこに、彼女がいた。
長く美しい黒髪を風に揺らして、笑顔でその場に立っていた。
周囲の木より、一際大きい桜の木の下に立ち、舞い散る桜の花吹雪に身を委ねていた。
同じ高校の制服に身を包みながらも、その姿はまるで桜の精のようだった。
きっと、着物とか着たら、そう思っただろう。
「あっあの…」
思わず声をかけた時、彼女の笑顔が固まった。
「えっ?」
黒く大きな瞳が、オレを映した。
けれどいきなり突風がふいて、オレは思わず腕で顔を覆った。
「うわっ…!?」
桜の花が視界を覆う。彼女の姿を隠す。
そして風がおさまった頃には…彼女の姿は消えていた。
「…幻、だったのか?」
それにしては現実感があるし、何よりウチの学校の制服を着てたしなぁ。
…明日、学校行ったら探してみるかな。
その日は薄暗く、そして風が少し強かった。
決してお花見日和とは言えない日だったけれども、舞い散る桜の白い花びらは、とても美しかった。
学校から家へ帰る途中、桜の山に寄りたくなって、そこへ向かった。
山一つ、桜の木ばかり植えられた山は、季節外れにも白く染まっていた。
けれどこの風じゃあ、明日には茶色になっているかもしれない。
そう思いながら、人気のない山の中を歩いた。
花びらは吹雪のように舞い散り、視界を遮る。
それでも上っていくと、頂上に人がいた。
すでに細い土道しかない頂上に登る人間なんて、滅多にいないはずなんだが…。
けれどそこは桜の木が密集していて、とても幻想的な雰囲気が広がっていた。
そこに、彼女がいた。
長く美しい黒髪を風に揺らして、笑顔でその場に立っていた。
周囲の木より、一際大きい桜の木の下に立ち、舞い散る桜の花吹雪に身を委ねていた。
同じ高校の制服に身を包みながらも、その姿はまるで桜の精のようだった。
きっと、着物とか着たら、そう思っただろう。
「あっあの…」
思わず声をかけた時、彼女の笑顔が固まった。
「えっ?」
黒く大きな瞳が、オレを映した。
けれどいきなり突風がふいて、オレは思わず腕で顔を覆った。
「うわっ…!?」
桜の花が視界を覆う。彼女の姿を隠す。
そして風がおさまった頃には…彼女の姿は消えていた。
「…幻、だったのか?」
それにしては現実感があるし、何よりウチの学校の制服を着てたしなぁ。
…明日、学校行ったら探してみるかな。