それから僕が意識を取り戻したのはずい分後の事だった。
おじさんが、僕をかばうように上から・・。

「おじさん・・??」
僕は声を出した。
その声に反応してか、おじさんはゆっくり動き始める。

「大丈夫かい、坊や。」
おじさんの顔に、何か赤い液みたいなのが流れていた。

「う、うん・・僕は・・一体・・?」
周囲を見渡す大輔。

「土砂崩れに巻き込まれて、私たちはぽっかり空いた空洞に落ちたんだよ。」
おじさんは上を見る。
それにつられて、僕も上を見る。

光が見える・・。

「じゃあ・・・僕たちは落ちたの?」
「うん。運よく空洞があったというべきか、だな。」
おじさんは、立ち上がる。

「どうするの・・?」
僕は動こうとする。
すると、足に激痛が走る。

「つっ・・!!」
あまりもの痛みで、僕は顔を歪める。

すると、おじさんが手当をしてくれた。
あまりもの手際良さに、僕は驚いた。

「おじさん、うまいんだね。ありがとう」
「なに、映画でも怪我負った時に、自分で治療したりしていたからね。」

  ・・映画・・

「おじさん、誰なの?」
僕は気になって、そう聞いた。

おじさんは、僕の足の治療を終えてから僕の顔を見た。

「僕は、高蔵健。君は?」

高蔵健・・・・。

「僕は、西紀大輔です。」
僕は頭を下げた。おじさんも頭を下げる。


この非常事態の中、僕は出会ったんだ。

高蔵健っていうおじさんと―――――――。