「なぁ、柊。
立崎とどんな関係?」



周りを警戒していた俺は
先輩のその言葉で
一瞬、動くことを忘れた。



「…や、別に。」



付き合ってるっつーのも、なんか違う気がする。それに色々聞き出されるのも面倒だ。

変なことは言わない方がいいだろ。



「ほんとに?」



完璧と言っても過言ではない。そんな顔を少しだけ歪めて追求してくる先輩。


わっかんねぇ。
何をそんなに気にしてんだ?



「…はい、つーか
何なんですか。」



ため息混じりに吐き捨てた俺の言葉に、先輩は大きく息を吸ってから


再び俺を見据え、



「じゃあ、立崎は俺がもらうわ。」



さっきまでの顔とはうって変わって、爽やかな笑顔を向けると、俺にヒラリ手を振って去っていく。


そんな先輩の後ろ姿を見送りながら、



「…勝手にしろよ。」


その場に立ち尽くした俺は
そう、呟いた。


別にいい。

俺は好きじゃないし。
1週間後にあいつから
解放されるために、
付き合ってやってるだけ。



ただ、それだけ。