だが、そんな優子をおとなしくさせたのも、やはりケイの一言だった。
「僕は、神様なんかじゃない。でも、普通の人じゃないかもしれない…」
そう言ってケイは、あの包帯でぐるぐる巻きにされた左腕を、高々と空に向かって突き出した。


―するすると包帯が自然と解かれ、ケイの左腕があらわになった。優子は、その左腕を見て驚愕する。逆光の為、暗がりにはなってはいたが、はっきりと優子には見えた、その腕に刻まれた、生々しい、無数の切り傷が…―

「リ…リストカッター!?」
「…君の心の傷、請け負ってあげるよ。」
その瞬間、ケイは突き出した左手首に目掛けて、右手に隠し持っていたナイフで、勢いよく切り裂いた!
「きゃあっ!」
余りにも衝撃的なシーンに、優子は思わず両手で顔を覆った。