そういってケイは、ちょこんと優子の右隣りに座った。
優子は、今までこんなにきれいな男の子を見た事がなかったので、心臓がばくばくしていた。そんな優子に、ケイは問い掛ける。
「人を好きになるって、どういう事?どんな気持ちになるの?」
まるで、三、四歳の小さな子が母親にものを尋ねるかの様に、じっと優子の方を見つめながらそう言った。
「あなたは、恋を…人を好きになった事は無いの?」
どうみても、年齢から言えば優子と同じくらいのケイに、変わった事を聞くなと思いつつそう言った。
「うん。僕自身では一度も。でも今まで、いろんな形の他人の初恋は見てきた。だけど、まだ足りない。それを理解するまでには、まだまだ足りない…」
「…」
美しいが、余りにも奇妙で無表情な、マネキン人形の様なケイに、優子は次第に、気味悪さを感じ始めていた。
「そ、そろそろ家へ帰ろっと…学校の帰りに制服で寄り道するのも疲れたし。じゃ、じゃあ!」