そこまでやっと、麗華が話し終えた所で、ふいに、今まで麗華の話をじっと黙って聞いていたケイが、静かに口を開いた。
「…ごめんね、麗華さん。」
「えっ?」
「やっぱり僕は、恋を理解しようとしない方がいいのかもしれない。そんな僕に引き寄せられる女の子はみんな、悲しい初恋を迎える…」
麗華は、ケイが今、何を言わんとしているのかが、全く分からなかった。今度は麗華の方が、ケイの話にじっと耳を傾けていた。
「…でも、ある女の子が僕に手紙で伝えたんだ。人を好きになる事がどういう事かを理解するには、実際に体験して見るしかない。でも、今のあなたには、それが出来そうにない。だから、より多くの女の子の初恋の終わりを見続けなさいと。そして、さらに彼女は続けてこう伝えたんだ…」
そこまで言うと、おもむろに、例の、左腕にぐるぐる巻きにされている包帯を、麗華の目の前でするするとほどいていった。