それにぐるぐる巻きにされたあの包帯…以前にも似た様な子おったなあ。確か、あの特徴的な包帯の巻き方って確かリスト…」
そんな事を考えながら、麗華は気付かずにとある場所に足を運んでいて、自分でも驚いていた。


―自分の学校の校門前―


「な、なんかウチ、やる気満々やないか!…さすがに、今日は通う気無いで。」
そう言いながらも、そのまま帰宅するわけでも無く、麗華は学校を囲う外壁沿いに、ほぼ無意識に歩き始めた。そしてたどり着いた場所。外壁の向こう側からは、何やらピアノの音が聞こえて来る。
どうやら、麗華は音楽室のある場所まで来てしまった様である。麗華の足は、まるでそこがあたかも初めから予定していた終着駅であったかの様に、自然と足を止めた。


…そして、誰が弾き手とも分からない、優しく、しかし少し物悲しそうなその音色に聞き入っていた。