「…今日はまだ、ケイ君の笑顔がみれんかったなあ。君、笑うときっと、素敵やで。」
「…麗華さんも、笑顔の方が、うんと似合うと思いますよ。」
その言葉を聞いて、麗華は、ぽっと顔が赤くなった。それと同時に、改めてふと思った。
―最近、今日みたいに、ウチ笑う事ってなかったなあ。これもケイ君のおかげかも―
そこで麗華は、その場から去っていくケイに対して、無性に何かを伝えたくなった。そして麗華は、その「何か」を言葉にした。
「ウチ、思い切って明日、学校に行って見るわ。最近サボりがちやったけど、明日学校行ってみよう思うねん。…なんか良い事、待ってるかなあ。」
ケイは振り返って言った。
「麗華さんになら、きっと…」
「…そう。おおきに。」
こうして、二人は別れた。
その帰り道、麗華は、今日出会った少年、ケイについて考えていた。
「兄弟について質問したら急に、顔を青ざめて震えだした。やっぱりなんか、悪い事聞いてしまったんやろか。